最低賃金を下回る場合、罰則が科されることもある

最低賃金を下回る場合、罰則が科されることもある

最低賃金とは、「労働者に雇主が支払うべき賃金の最低基準額を決めたもの」です。これには、地域によって、それぞれの自治体ごとに物価や特殊事情を加味して定めた「地域別最低賃金」と、特定の産業に従事している労働者を対象に定めた「特定最低賃金」があります。

地域別最低賃金は、業種に関係なく、各都道府県の事業所で働く、全ての労働者の賃金について適用されます。これは、都道府県ごとに1つずつ定めることになっていて、都道府県の数と同じく47の最低賃金が定められています。最低賃金は毎年見直しがされているので、その年度の最低賃金が常に適用されることになります。

特定最低賃金は、別名、産業別最低賃金ともいいます。こちらは、法例で地域別最低賃金よりも金額が高くなるようにという決まりがあって、更に、特定最低賃金を決める必要がある産業についても決まりがあります。平成24年4月の段階では、全国で246件の特定最低賃金が定められています。

最低賃金については、最低賃金法という法律がつくられていて、第4条により「最低賃金以上の金額を労働者に支払うこと」「雇主と労働者の合意によって、最低賃金以下の賃金で労働契約を交わしても、無効とする」という趣旨が書かれています。

では、もし、雇主が労働者に対して、最低賃金以下の賃金しか払わなかった場合はどうなるのでしょうか?

最低賃金法39条と、労働基準法120条では、こうした場合の罰則についても定めがあります。地域別最低賃金を守らなかった場合は、50万円以下の罰金、特定最低賃金以下の賃金しか払わない時は、30万円以下の罰金が科されることになります。

また、もしも、受け取った賃金が、最低賃金を下回っていた場合は、最低賃金と受け取った金額との差額を雇主に請求して、払ってもらうこともできます。これは、労働者の雇用形態とは無関係で、パート、アルバイトでも、正社員でも、期間採用でも同じです。ただし、18歳未満および65歳以上の労働者、雇入れ後一定期間未満の研修期間中の場合、業務に特有のごく軽い簡単な作業だけをする労働者の場合は、例外です。