年次有給休暇の計画的付与ってなんだ?

年次有給休暇の計画的付与ってなんだ?

年次有給休暇は、労働者の請求する日に与えるのが原則であり、雇主側が、休む日を指定することは認められていません。しかし、労働協定を結んだ場合に限り、労働者側が一定の範囲で指定した日に年次有給休暇を与えることができます。この制度が「年次有給休暇の計画的付与」といって、労働基準法にも定められた合法的な制度の一つです。

有給休暇は、本来、労働者の正当な権利であって、原則的には、いつとっても構いませんし、使い残しは望ましくないものです。しかし、良く知られているように、日本の企業の中では、「休みを取ること」に罪悪感を感じやすい、周囲に気兼ねしてなかなか、有給を取りたいと言いづらい雰囲気がある、といった実態があります。そのままにしておくと、有給休暇が減らないままになりかねないため、「それなら、互いに気を使わないで済むように、一斉に休んでしまうようにしよう」というのが、この制度の趣旨です。よく活用されているのが、年末年始や、盆休みに組み合わせて有給を与える方式で、これによって、いくらかまとまった休暇をとっても、賃金を減らすことがないような方策になり、更に有給休暇も確実に消化できるというわけです。

とはいえ、年次有給休暇は、本来「労働者が希望した日に与えなければならない」というルールもついていますから、年次有給休暇の計画的付与には、一定の制限も設けられています。そのひとつが、「労働者が自由に決めて請求できる有給休暇を5日間確保すること」です。会社が与えたい有給休暇の日数を差し引いた残りが5日に満たない場合は、このルールに反してしまうので、計画的付与の日数を減らさなくてはなりません。

また、入社間もない新人の場合、初年度の有給休暇自体が4日しかないこともあります。こうした場合は、そもそも、計画的付与の対象外ということになってしまいます。しかしながら、それでは全員一斉に休暇を取ることができなくなってしまいますから、このような場合は、新人に関してだけ、特別休暇を与えるなどの対処が必要となります。