1年に1回の定期健康診断は事業主が費用を負担する

1年に1回の定期健康診断は事業主が費用を負担する

雇主は、自分の事業所で働いてもらっている労働者の身体、生命の安全、健康に配慮することが法律で義務付けられています。簡単に言うと、「仕事をすることで、病気になったり、怪我をすることがないように気を付けなければならない。」ということです。これを「安全配慮義務」といい、労働基準法、労働安全衛生法等の法律で詳しく規定しています。

仕事を行う上で必要な道具や、薬剤の取り扱いに注意をして、労働者に、正しい使い方や保管、管理などの教育をすることもその一つですし、建物の中が、適度に明るく、身体に極端な負担がかかるような室温にならないようにする(それが避けられないときは、防護の衣類を支給したり、適度に休憩を取るような仕組みを作る)、換気を適切に行い、作業場内に有害なガスが充満するなどの危険な状態にならないような設備も設置したりします。

これらに加えて、常時10人以上の労働者を雇っている事業所の雇主には、労働者に健康診断を年に1回以上受けさせなければならないという義務も課せられています。

この健康診断は、本来的には雇主の事業所で主催することが基本となりますが、事業規模が小さく、労働者も「ちょうど10人」という程度だったりすると、健康診断と言っても費用が掛かりすぎます。そこで、公的機関や、個人病院、健康保険組合が主催する健康診断に自社の労働者を受診させて、その費用負担をすることで、健康診断を受けさせたのと同じ扱いとするルールも設けています。健康診断を受けさせなければならない義務を、費用を負担する形で代替するということですね。

この、健康診断を年1回以上受けさせるという義務は、正社員および、一定の条件に当てはまるパート、アルバイト労働者にも適用されます。ただし、派遣労働者の場合は、派遣先の事業所の主催する健康診断は利用する対象になりません。派遣社員の場合は、派遣元が健康診断を受けさせる義務を負うことになっています。