周知されていない就業規則は効力がない

周知されていない就業規則は効力がない

事業主さんから依頼を受けて、社労士さんが同席し、労働者の代表とも話し合って就業規則を作りました。労働基準監督署へも届け出て、これで一安心。しばらく経ってから、ご様子伺いに、事業所に電話をして「就業規則は掲示しましたか?」と事業主さんに質問したら、

「えーと?あの後持って帰って、金庫に大事にしまってあるよ?」なんて返事が。

これでは、就業規則はせっかく作っても効力がないものとみなされてしまいます。なぜなら、就業規則は「周知義務」があり、事業主は、事業所で働いている労働者全員が就業規則を全て把握し、必要に応じていつでも確認することができるよう、事業所の目につきやすいところに貼りだしておくことや、印刷したものを全員に配布することが義務付けられているからです。最近では、社員が自由に使えるパソコンに掲示して、いつでも見られるようにしている会社もあるようです。

作成時は、事業所規模によっては、労働者の代表と事業主側だけで取り決めを行うことができるとされていますが、労働者の代表だけが内容を把握しているだけでは周知しているとはみなされません。大部分の労働者が内容を知らない就業規則は法律違反となり、効力がない(無効)ことになります。せっかく取り決めても、文字どおり「一度も日の目を見ない」まま、ということになります。これでは手間のかけ損になってしまいます。

就業届の作成・届出違反については、厳しい罰則があるため、雇主さんは、届け出を済ませただけで安心してしまうケースが多いようです。しかし、実は、就業規則の周知義務違反も30万円の罰金の対象になることは、気が付かれていない方が多いようです。うっかりでも、放置してしまって周知を怠ると、思わぬ罰金の対象になることもありますから大変です。周知は、全員に周知させること以外、方法の細かい規定はありませんから、就業規則を届け出たら、速やかに周知をするように心がけたほうが安心ですね。