内定取り消しって違法じゃないの?

内定取り消しって違法じゃないの?

内定の通知を貰って、あと少しで新しい会社に勤務開始。準備を進めている時に突然、「内定を取り消します」と言う連絡が!!「ちょっと待ってください!今更取り消しなんて困ります!」と訴えても、「申し訳ないけれど、こちらで確定したことなので…。」と、全く取り合ってもらえない。

こんな事態に陥ったら、求職者は、諦めて会社側の決定に従うしかないのでしょうか?

まず、内定通知を改めてみてみましょう。内定通知は、「あなたを雇い入れる予定ですよ。」という趣旨のお知らせです。とはいっても、まだ、実際の勤務開始までは、少し時間がありますし、近年の新卒者の就職活動は開始時期が早くなり、学校の卒業まで相当時間が空くということもあります。そこで、企業側は内定通知によって、内定を取り消す場合の説明を行っています。今後、入社日までの間に、思わしくないことを起こした場合は、内定を取り消しますよ、と知らせているわけです。この、「内定を取り消しますよ」という条件のことを「内定取り消し事由」といいます。内定の取り消しを行う場合は、この、内定取り消し事由に該当しないものは、違法の可能性が高くなります。

内定取り消し事由として、挙げられているものは、例えば、「大学を卒業できなかった」など、採用時の条件と、求職者側の提示できる条件に違いが起こったときが多いです。このほか、入社日までに、刑法犯罪を犯して逮捕や勾留されたとき、破廉恥罪を犯したときなども該当するようです。しかし、反面、「会社の業績不振で、人件費が払えなくなった。」などの理由を内定取り消しの事由とすることはしてはいけない、という厚生労働省からの指導もあります。従って、このような理由で内定取り消しをするのは違法性が高いと言えます。

内定というのは、雇用契約の成立と同じであって、実際の勤務や雇用契約書の作成はまだでも内定通知が来た段階で、雇い入れは確定しているという扱いになります。ですから、法律上は、既に雇用契約が成立している状況です。雇用契約は双務契約といって、両方の当事者に権利と義務が生じるため、一方だけの都合で契約破棄(この場合は解雇)することはできないのです。