内定と内々定の違い

内定と内々定の違い

就活も本格化する夏から秋にかけて、「内々定が出たらしいよ!?」「内々定じゃ、まだ、安心できないよ。」などと、就活真っ只中の卒業年次の学生さんの間でささやかれるようになってきます。「内々定」っていったいなんなんでしょうか?内定と比べると、なんとなく、「後ろ向け?」「まだ油断できない」とか、今一つスッキリしない印象もありますね。

さて、労働法を見てみますと、内々定、内定という言葉についての解説は見ることができません。これは、法律上の用語ではなく、企業が新卒者を採用する際に慣習的に行われてきた通達の方法をこのように呼んでいるものだからです。法律上の区分では、内定のことを、「始期付解約権留保付労働契約」と呼ぶこともあります。経団連などの企業団体では、相互に新卒者採用の時期について一定のガイドラインを設けています。特に、いわゆる「青田刈り」と呼ばれるような、超・早期ともいえる時期に学生の採用を決めることについて、次期を定めて自粛を促しているのです。

内々定と内定の区別は、卒業年次の10月が一つの区切りになります。10月より前に採用の連絡が入れば「内々定」10月以降に出されるものが「内定」です。

この「10月」というのも2014年現在の時期であって、経団連によって企業各社に対して通達しているルールのようなものです。従って、こちらも法律上の決まりで10月となっているわけではありません。

では、内々定と内定の法律的な取り扱いは?というと、実はそんなに大差がなく、慣習として、「10月前に、採用の連絡を貰うのが内々定、その後、10月過ぎてから、文書で届くのが内定(内定通知)」と考えられているようです。内定承諾書にサインをして送り返した時点で、雇用契約は成立したものとみなされます。

「内々定は、文書がないんだから、企業も、学生も断って問題ないんだよね?」と言われますが、前述のように、内々定と内定は法律上は大きな差がありません。雇用契約も、「書面で交わすように」と勧められてはいるものの、契約そのものは口頭でも成立するからです。内々定を取り消された学生が企業を相手取って損害賠償請求を求めた民事訴訟でも、学生側の言い分が認められ、企業側が敗訴しています。