残業時間って法律的には何分刻みで計算されるの?

残業時間って法律的には何分刻みで計算されるの?

残業時間は、日によって時間が決まっているものではありません。勤務時間は「9時から5時」のように、何時から何時、ということがきっちりと決まっているので、賃金の計算するのも簡単でしょうが、てんでんばらばらな残業時間は、計算がややこしくなるためか、各事業所ごとに、「15分未満は切り捨て、15分以上は切り上げの端数処理をします。」なんて説明をされる場合もありますね。

こんなとき、「法律では、残業手当って、何分から請求の対象になるの?」と、疑問に思う方もあるかもしれません。

法律上、残業手当も、給料などの賃金も、原則は労働基準法24条の「賃金全額払いの原則」の対象です。ですから、極端な言い方をすれば、例え1分でも残業をすれば、その分は、残業手当の支払い対象になる、ということはできます。働いた分に対して、雇主はその対価としての賃金を「全額」払わなければいけないのですから、1分であっても残業をしたことには違いはないからです。

とはいっても、実際の賃金の計算を考えると、1分単位でも丁寧な計算をしていたのでは、非常に面倒です。数人ならばまだいいでしょうが、毎日、「今日は2分、昨日は1分40秒、一昨日は3分27秒」なんて感じに残業時間を計算しなくてはならないとなると、パソコン入力で算出するにしたって面倒ですね。そのため、実際の給料計算の現場では、こういう煩雑さを軽減する目的もあって、15分単位とか、5分単位での「丸め」を行う事が良く行われます。これは、昭和60年3月14日の行政通達による方法に則って行われるもので、

1日単位での30分未満の切り捨て、切り上げはダメ。
1か月単位の「30分未満の切り捨て、30分以上の切り上げ」はOK。
残業代で1円未満が発生したときは、50銭未満切り捨て、50銭以上切り上げをしても、しなくてもOK。

といったルールもあります。

1日単位での端数処理が禁止なのは、労働者にとって不利益になることが心配されるからで、時間単位での端数処理でも、金額単位での端数処理でも、どちらも労働者にとって有利になるのであれば構わない、というのが原則となっています。