年棒制って具体的にはどのようなもの?

年棒制って具体的にはどのようなもの?

プロ野球選手など、契約更改のニュースで「年棒〇千万!」なんて年収が話題になることがありますね。一般的なサラリーマンでは、年俸制という形の賃金形態は珍しく感じるのではないでしょうか?「言葉から、なんとなく、「年収〇千万」に似てるような感じはするけど、まさか、1年分を年の初めに一括して払ってはいないだろう。実際はどうやって支払われているのか、イマイチ良く分からないなあ…?」と思われませんか?

おっしゃる通り、年俸制とは、「年間に払われる賃金の総額を、最初に決めておく賃金形態」のことです。年棒〇千万、というのは、「契約年度は、〇千万をお支払いしますよ。」ということで、厳密に言うと年収とは少し意味が違います。というのは、年俸制には、残業手当の分を別計算する場合があるからです。残業は年間何時間を行うのかあらかじめ予想することが難しいため、基本的には、行っただけ、別途計上して支払う形が採られます。ですから、通常通りの計算でいくと、年棒+残業代で、年収は年棒よりも多くなります。(一部、あらかじめ一定時間の残業を義務づける契約としているところもあります)

年俸の支払い方は、各事業所ごとに違います。あらかじめ年間の収入額が決まっているものの、賃金というのは、「労働の対価」であって、「働いた分を支払う」のが原則です。従って、会社としては、「これから働いてもらう予定の分」の賃金までは、先渡しする必要はありませんし、払ってしまうと、逆に労働基準法の「予約労働の禁止(賃金を前払いする代わりに、労働を強制すること)」に該当してしまう恐れもあります。ですから、年俸制であっても、支払いは、原則的に月ごとに分けて行われることになります。

例えば、スポーツ選手だって、何かの都合で、突然、辞めるという可能性もないではありません。その場合、働いていない分まで前払いが済んでいると、返済が必要になるなど、大変ややこしいことになってしまいます。また、家計も会社の経理も、月払いの方が現実的です。そんな事情から、通常は、年棒を12等分で毎月一定額とか、16等分にして月額+ボーナスといった形をとります。