人員整理のための解雇はどこまで許されるか

人員整理のための解雇はどこまで許されるか

人員整理、いわゆる「リストラ」は、会社の経営を立て直す手段として、本当にやむを得ない時に限り、特別に認められる最後の手段ともいうべきものです。それだけに、気楽に行われないよう大変厳密な規定があり、それに沿って、人員の選出が行われます。

そんな整理解雇の人員整理は、どの程度まで認められるものなのでしょうか?

まず、整理解雇の人選については、「合理性があること」「公正であること」が当然に求められます。会社にとって都合のいい人物だけを残すのに整理解雇を悪用することは認められません。

そのため、雇用契約内容からいけば、まず真っ先に選出されるのは短期雇用や、パートタイマーの人です。会社にしてみたら、「人件費の高い正社員を減らして、社会保険料の負担がない、雇い止めしやすいパートを残したい」と考えたいところですが、これは認められません。

次に、正社員の中でも、勤怠や素行が問題がある人などは、整理解雇リストの上位に上ってくることが認められています。勤務年数や業務への貢献度など、その他の条件において大きな差が無い場合、次に選択の基準となるのは、「社内の秩序を乱す」「勤務怠慢」「技量が低く、改善の見込みがない」「事故や欠勤が多い」「業務に非協力的」といった人になります。その中でも、年齢の上の人から選定されていくことが多い模様です。

他方、会社にとって不都合だから、という理由で「労働組合に加入している」ということを理由に、その他の正当な理由もなく、整理解雇の上位に持ってくることは、違法行為であり、認められません。普通解雇の場合でも同様のことで、組合活動や、会社の違法、不法、触法行為について内部通告をしたことなどを理由として会社が労働者を差別的待遇に処することは禁じられています。整理解雇は経営難に陥った会社を立て直す目的で行われるものであり、会社にとって不都合な人間を処分することに濫用されるべきではありません。