時間外労働の月の限度時間、年の限度時間

時間外労働の月の限度時間、年の限度時間

時間外労働には上限があることをご存知でしょうか?時間外労働、つまり、残業時間は、本来「なるべくならゼロ、やむを得ない場合でも、出来る限り最小限にとどめること」と厚生労働省の通達では決められています。これは、本来なら、労働時間内で済ませられるのが働くかたちとしては、労働者の健康、良い労働環境を守るために理想的であるということと、上限を設けることで、雇主に都合よく無制限に労働者を酷使することのないように歯止めをかけるという二つの目的があります。

時間外労働の上限は、非常に細かく決められています。8時間労働の場合、1か月間は、45時間(休日出勤を含む)、2か月間合計では81時間、3か月間合計で120時間、と、累積することで、次月の残業時間の上限が少なくなるようになっています。1か月間が45時間だから、と翌月も同じだけ残業すると、合計が90時間となり、労働基準法違反になります。2か月目は81時間を上回らないよう、36時間未満としなくてはなりません。

同じように、年間通算の上限は、360時間となっています。単純に12か月で割ると、ひと月あたりは30時間ということになりますね。月間30時間未満をキープしていれば、労働基準法違反にはならずに済むということです。

変形労働時間制の場合は、更にこの規定が厳しくなります。1か月は42時間、2か月合計55時間、3か月合計110時間、年間は320時間という形です。変形労働時間制の場合、休日や深夜などの割増賃金の時間帯に労働をせざるを得なくなりやすいので、その分時間外労働についても厳しく制限することで、超過労働を防いでいます。

8時間未満の短時間労働者の場合、法定内労働時間の分までは、時間外労働にはみなしません。例えば6時間労働の場合だったら、6時間を超えて8時間までは、法定内労働、それ以上の時間が時間外労働ということになります。時間外労働の上限時間は8時間労働の場合と変わりませんが、実際の時間を計算するときは、法定内労働時間分を差し引いて計算する必要があります。