休憩時間に電話当番を任されるのは違法では?

休憩時間に電話当番を任されるのは違法では?

電話番のような、必要に応じて対応するために、待機している時間のことを「手待ち時間」といいます。休憩時間の間、誰もいなくなると困るから電話番として待機しておくように、と電話番を任されるのは、労働関連法では違法にあたるでしょうか?

労働基準法では、「休憩」は、「仕事から完全に離れている時間」と定義されています。言い換えると、労働者は休憩時間に「労働してはいけない」し、雇主は「労働させてはいけない」ということなのです。

ですから、休憩時間になっているはずの時間帯に、「電話番として待機しておくように」と業務命令をすることは、労働基準法上では「労働をさせている」とみなされ、違法になります。時間帯としては休憩時間とされていても、「休憩を与えていない」という判断になるのです。

たとえ、かかってくるか来ないか分からない電話のためとはいっても、電話番を命じられた人は、電話番の目的で持ち場を離れることができません。これが「業務命令で、職場に拘束を受けている」という状況に当たります。休憩時間には「労働者の自由に使わせること」という決まりもあります。電話番の目的のために、本来、自由にできるはずの休憩時間に拘束を受けて、外出が禁じられているわけですから、「業務遂行中」ということになります。

休憩時間中の電話については、各事業所ごとに異なる事情があるため、労働基準法を始めとする労働法で、「このように対処しなさい」と明文化したルールを設けてはいません。そのため、それぞれの事業形態に従って、適宜対処をすることが必要になってきます。

会社によっては、業務を分けて、始業時間をずらすことによって、休憩時間に時差を持たせて対応できるようにしたり、持ち回りの当番制を設けて、電話番を行った日だけ、同日中の別の時間に休憩がとれるようにするなどの方法をとったりする場合もあるようです。また、休憩は仕事を完全に止めて、電話応対を一切させないことを徹底している会社もあります。