年1回以上の健康診断を実施しない会社は違法

年1回以上の健康診断を実施しない会社は違法

仕事をするために、とても大切な条件が「健康であること」です。

仕事は大なり小なり体に負担がかかるものであり、雇主(会社)は働く人がいてこそ成り立つものです。そこで、労働安全衛生法66条1項では、「雇主は、年1回の健康診断を労働者に受けさせなければならない」という義務を与えています。この規則は、パートでも、アルバイトでも、正社員でも同じです。「パートだから受けなくていい」とかいうことはありません。費用負担については、多くの会社、事業所が雇主側の負担で受診できるようにしています。会社側の義務で実施されるものだから、ということなのでしょう。稀に、自己負担が生じる場合もあるようです。

業務内容によって、重労働であったり、化学物質や放射線など、人体に有害な物質を扱う必要がある場合、振動を与える機器など、身体に物理的負担を与える道具を扱う仕事の場合、深夜勤務を定期的に行う必要がある場合などは、個別により細かい健診を実施することを義務付けられる場合もあります。

法令で、「受けさせなければならない」と定めているものですから、健康診断を年に1回以上実施しないということは、立派に違法になります。

一方で、労働安全衛生法65条は、「原則、事業主が実施する健康診断を受けなければならない。」という規定も設けています。労働者にとって、健康診断を年に1回以上受けることは、権利でもあると同時に、雇主に対する義務でもあるということです。この法令には罰則規定はありませんが、会社によっては、就業規則や社内規定で、「必ず健康診断を受けること」を義務付けている場合もあります。

事業所規模が小さくて、自社で健康診断を実施するのは費用的に難しいという場合は、会社が自治体や病院などで行われる健康診断にかかる費用を負担することで、実施したこととみなすという制度もあります。時季についても、法令上の決まりはなく、一般的に繁忙期を避けて、定期的に毎年同じころに行われるのが通例となっているようです。