試用期間中は厚生年金や健康保険の加入者になれない?

試用期間中は厚生年金や健康保険の加入者になれない?

試用期間というのは労働基準法では「試みの期間にあるもの」書かれており、つまり、「雇っているけれど、まだ、正式の採用ではない」という段階の人です。試用期間が過ぎるまでに、雇主は労働者の適性や性格等を見極めて本採用にするかしないかを確定します。試用期間は本採用ではないことから、労働者としては身分が安定しないことになるため、あまり長期に渡る試用期間を設けることはNGとされています。平均的には、2〜4か月程度の試用期間を採用している企業が多いようです。

この、試用期間中は、社会保険適用事業所であっても、「国保と国民年金に入るように」なんてことを言ってくる事業所が少なからずあるようです。たしかに、試用期間中は正規雇用ではありません。そのためか、求人票に「社会保険完備」としていながら、こういうことを言ってくる会社が少なからずあるようです。雇う側の心理としては、「試用期間では、いつ辞めるか分からないし、試用期間が終わるまでの期間は正社員ではないから。」とか「短期間で辞めるかもしれないのに、手続きや保険料を負担するのは面倒。」ということがあるようです。

では、使用期間中の労働者は、厚生年金、健康保険の加入者になれないのか?というと、そうではありません。
むしろ、「社会保険完備」としているのであれば、加入させなければ違法になります。

社会保険完備というのは、「その事業所(会社)で働いているすべての労働者は、社会保険に加入する」ということ。これに「試用期間か、正規雇用か?」の区別はされていません。所定の基準となる労働時間、労働日数を満たしていれば、試用期間であっても、雇主側には社会保険への加入義務が生じます。

加入させなければならない労働者を、故意に加入させていないということになると、立派な違法行為となり、雇い入れ時点まで遡って保険料を請求されることになります。

使用期間中を、正社員としてではなく、アルバイトとして契約する会社もあります。この場合、労働時間や労働日数がどうなっているかで加入義務の有無が生じる点は、試用期間の社員と同様ですが、この場合は法律的にグレーゾーンとなり、個々の事例で判断が分かれるようです。