地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金

地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金

公共職業安定所(ハローワーク)や、各市町村役所や自治体の広報などを見ると「最低賃金」についての掲示物が張られているのが目につきますね。フリーペーパーの求人誌などを見ると、こちらにも必ず最低賃金の掲載があります。よく見ると「〇〇県」と、書かれたものが掲載されているほか、「業種別」と書かれたものがいくつか併せて載っていることがあります。

最低賃金とは、文字通り、「労働者が受け取るべき賃金の最低ライン」を示したものです。一般に、最低賃金というと、多くは、都道府県別の最低賃金のことを指すことが多いです。都道府県別の最低賃金は正しくは「地域別最低賃金」といって、都道府県の数と同じだけ、47か所分の金額が決められています。これは、地域によって、必要とされる生活費の金額に違いがあるため、個々の地域で、最低限の文化的生活を営める水準として、最低賃金が定められています。当然ながら、物価の高い都心や大都市は最低賃金の額も高くなります。

ところで、最低賃金には、もう一つの別の基準があります。こちらは、「産業別最低賃金」とか「特定最低賃金」などと呼ばれます。こちらは、名前の通り、仕事の種類ごとに決められた最低賃金で、それぞれの雇主と労働者の間で申し出を受けたものについて、地域別最低賃金よりも高い水準を決める必要があるものについて、特別に決められた基準です。最低賃金審査会というところでの審議を経てから確定するもので、平成26年3月の段階では、239件の適用件数があることが分かっています。

特定最低賃金の業種や金額も、各都道府県ごとで違っています。ある意味、お国柄のようなものもあり、その地域ならではの産業に適用されている場合も、良く見られます。例えば北海道では牛乳の加工や、製糖などに関する業務が高いですし、大手出版会社の本社地が集中するど東京都では、特定最低賃金に出版業が含まれます。

特定最低賃金と地域別最低賃金の両方が適用になる場合は、「高い方の最低賃金を適用する」という決まりになっています。