私傷病休職や自己都合休職には賃金を支払う義務はない

私傷病休職や自己都合休職には賃金を支払う義務はない

労働者が通勤中に怪我をしたりや業務遂行中に病気や負傷をしたとき、雇主は労働者に対して休業補償を支給することを定めています。これは、一つには、労働者が通勤または業務の遂行によって受傷(または疾病)を負ったのであるから、回復して復職するまでの生活に困窮しないように、という意味で支給されます。これは労働法上に定められた各種の規定によって法律上労働者の権利として認められたものです。

では、仕事に関わりのないプライベート上の病気や怪我のによる休職中の場合はどうでしょうか?

休職制度は、各事業所が独自に設けるものですから、休職期間中に賃金を払うか否かは、各事業所が独自に決めて良いということになります労働基準法では、ノーワークノーペイの原則を定めており、仕事をしていなければ賃金の支払いは不要としています。休職中は働いていないわけですから、その期間中は原則的に賃金の支払いはナシということになります。実際、休職中は賃金を支払わない会社も多いようです。

休職期間でも、在籍はしているため、失業保険などの社会保険料負担は会社側に生じます。労務に従事していなくても在籍していれば、社会保険料の支払いはそのまま生じますから、会社側にしたら、その分の人件費が負担になる場合もあります。そのうえ、休職中の賃金支給は負担ということなのでしょう。

とはいえ、労働者にとって賃金の支払いが無いということは、そのまま経済生活の打撃につながります。特に、病気療養中は、医療費の負担も、経済を困難にします。

会社が社会保険事業所であり、労働者が社会保険に加入している場合は、傷病手当という健康保険の手当てを受給することで補てんできるようになっています。ただし、傷病手当には、受給期間の制限があり支給開始から1年6カ月までと決まっており、更に受給額も賃金に比較して6割程度(1日当たりの報酬額の三分の二)と少なくなります。