就業規則の不利益変更とは?

就業規則の不利益変更とは?

就業規則は、作って労働者に知らせたら、それでおしまい、というものではありません。社会情勢は時々刻々と変わるもので、時代の流れで就業規則に不都合が出てきたり、会社の業況や景気低迷、労働関連法の変化によって、就業規則を変更をする必要が出てくるときもあります。そんなときのために、就業規則は、一旦決めたら永久にそのまま、というものではなく、必要に応じて所定の手続きをとれば変更そのものはすることができるという決まりになっています。

ところが、実際に就業規則を変更しようと、具体的な変更案が発表されてみたら、「働いている側にとってデメリットが多すぎる就業規則に変更されている」という場合があります。これが就業規則の不利益変更といわれるものです。例えば賃金や昇給の規定を今までより低いものに変更したり、配置転換や労働条件をこれまでより厳しいものに変更する場合などがこれに該当します。

労働者にとっては、歓迎したくない就業規則の不利益変更ですが、これを完全に禁止してしまうと、倒産や業績不振につながり、現実的ではありません。就業規則の変更に際し、使用者(雇主)は労働者の意見を聞いて行うこと、とは定められているものの、これは、同意を取り付けるということではなく、本当に「聴取する」だけです。とはいっても、タチの悪い雇主が自分に都合の良い変更ばかりをされても困りますから、労働基準法は就業規則の不利益変更については、一定の制限を設けています。

まず、当然ながら、新しい就業規則は、法律に照らして合法なものでなくてはなりません。また、労働協約の締結がされている時は、協約の内容に反するものもNGです。もしも、見落としなどで就業規則にこれらの問題があることが判明したときには、労働基準監督署は就業規則の変更を命じることができます。

また、法律や労働協約の内容に外れていなければ、何を変えてもOK、というわけではありません。就業規則の不利益変更は労働者にとって大きな経済負担を強いるおそれもありますから、まずは、変更を避ける努力が求められるのです。それでも足りずに、変更が必要であると合理的に認められる場合に、初めて変更が認められます。もちろん、その過程では、労働基準監督署による内容の確認もあり、極力労働者の負担が少なく収まるような配慮がされています。