採用内定の取消事由

採用内定の取消事由

採用内定は、事実上の雇い入れとみなされて、法律上は労働契約が成立していると解されています。内々定や、採用予定の場合は、内定よりも取り消しについての規制がやや、ゆるい傾向があるものの、基本的には、内定の通知を出した場合は、企業はその人物を雇うつもりがあると意思表示をしたものとみなされ、内定取り消しには、解雇と同じくらいの厳密な取り消しの理由(取消事由)が必要となります。

取消事由の内容は、大ざっぱに見て、「学生側に原因がある場合」と「企業側に原因がある場合」に分けられます。学生側に原因のある場合、というのは、例えば、入社間際に交通事故に遭い、怪我のために障害が残ってしまった、とか、病気になって、手術や長期の入院が必要となり、働けない、といったものから、「単位が足りなくて、入社予定の日までに卒業できなかった」とか「履歴書に嘘を書いていた」などの場合もあり得ます。滅多にないでしょうが、犯罪を犯して収監された、といったものや、簡単なミスで書類を期日までに提出しそびれた、などのものもあります。卒業できなかった場合でも、その理由が家庭の経済事情などによるものの場合、会社の温情で翌年や半年後の卒業を待って入社させてもらえた例もあるようですが、これらは、基本的に応募した学生側に落ち度や問題がある場合のものです。

反対に、会社側に原因がある場合は、「会社の経営が困難となり、新たに人を雇いいれできなくなってしまった。」といったようなものが良く見受けられるようです。しかし、これは、会社が倒産したのでもない限り、取り消しは難しいと判断されます。従って、会社側は当初の部署でなくても、どこかしら配属ができるように努力して雇い入れるべきであり、仮に内定取り消しが認められる場合でも、解雇予告手当の支給が必要とされると判断されるケースが多いです。採用予定や、内々定の場合は、この基準はもう少し軽微となり、採用取り消しが認められる場合もあります。