出向とは?出向は原則本人の同意が必要

出向とは?出向は原則本人の同意が必要

出向とは、勤務している会社に籍は残したままで、子会社や関連企業などの事業所に出向き業務に就くことをいいます。席は出向元に残ったままなので、雇用関係上は、出向先の社員にはなりません。しかし、実際の業務遂行上の指揮命令は出向先の事業所から下されることになります。

出向は、業務命令の一環として行われることが多いもので、通常、出向の可能性がある企業では、あらかじめ雇用契約書や就業規則などにも出向規定についての記載がされています。従って、必要に応じて会社は社員に対して「出向命令」という形で業務命令を下すことができますが、現実的には、社員には、社員のプライベートな生活もあり、あまり遠方への出向命令はその生活に大きな変化を与えることが予測できます。出向は、国内だけで行われるとは限りませんし、海外出向という場合だってあり得ます。そうなると出向先の政情不安や、全く環境の異なる異国での生活の不安、家族のある人の場合は、子どもの教育に関する不安など様々な面で、細かい調整が必要な点が出てくるものです。結婚を控えているようなときは、婚約者の事情もあるでしょう。いくら業務命令とはいえ、人生のすべてをかけてまで従う必要があるのか?と言われると、はい、と簡単には答えられません。

従って、業務命令としての出向規定を決めてある会社であっても、出向の必要が生じたときには、出向させる予定の社員の意向を事前に確認して、本人の合意を得たうえで実施するのが望ましいとされています。

テレビドラマでは、出向を事実上の左遷のように扱っているところが少なからずあり、イメージが悪いようですが、必ずしもそうではありません。人材育成目的で、技術を身につけさせるため、または、反対に指導をさせるために利用したり、雇用調整を行う場合や、中高年者の処遇の一環として利用したりもされています。出向後に、出向先に移籍する転籍というしくみもあり、その橋渡しとしても使われるときがあります。