年次有給休暇は原則1日単位で与えられる

年次有給休暇は原則1日単位で与えられる

年次有給休暇は、継続勤務期間6か月以上で、期間中の勤務時間の8割を勤務した労働者に与えられる休暇です。有給休暇は、文字通り「有給」で賃金をもらいながら、労働をしなくて良い日であり、雇主には、有給の付与義務、労働者には、取得の権利がある、と、労働基準法で定められています。ですから、雇主(会社)は労働者から有給を請求されたら、「与えなくてはならない」という決まりなのです。

ところで、この有給、例えば「半日だけ用事があるから半休が取りたい」という時でも利用はできるのでしょうか?

実は、平成22年4月1日より、法改正によって、有給の時間付与が可能になりました。従って、可能、不可能の問題だけで言えば、時間単位で有給休暇を取得することも可能です。これは、就業規則などで具体的な利用方法が定めてあることが原則ですが、就業規則のない小規模の事業所や、就業規則に有給の時間付与規定がない場合でも、労働者と雇主との間で合意があれば、半日単位での付与は可能となっています。

しかし、休暇というものの本質を考えてみると、慌ただしく、仕事に追われるようにして使うことは、仕事を離れて休むという目的には沿ったものとは言い難いですね。従って、本来的な意味では、休暇は1日単位で与えるものであり、コマ切れで与えられても休みにはならない、という考え方によるものでしょう。

従って、基本的には休暇は1日単位で与えられるのが原則ということになります。

反対に、労働者が1日単位での休暇取得を希望しているにもかかわらず、雇主側の業務繁忙等の都合や、あるいは、特段の理由もなく、「半日にしてくれ」といった要求を行うことは、原則から外れて触法行為となる可能性があります。雇主には、有給休暇の付与義務があり、有給休暇の時季変更権、あるいは、有給休暇の計画的付与を行う事は許されていますが、これらは、労働者側の有給休暇の取得を制限する目的ではありません。基本的には、労働者から要求されたら、雇主は有給休暇を与えなければならないのも原則の一つとなっています。